小さな小さな国の、小さな小さなお屋敷に、ひとりの少女が住んでいました。
少女はうまれた時から病弱で、十歳の誕生日をこえられるかわからないと言われていました。

無事迎えた五つめの誕生日、少女は両親からひとつの石を贈られました。

これから誕生日にひとつずつ宝石をプレゼントしよう
十個揃ったら、ネックレスにしてパーティーをしよう

五つの誕生日に蛍石  ― 君が美しい娘に育ちますように
六つの誕生日に柘榴石 ― 君が元気に育ちますように
七つの誕生日に翡翠  ― 君の心が穏やかでありますように
八つの誕生日に琥珀  ― 君の人生が喜びで満ちますように
九つの誕生日に瑠璃  ― 君に、健康を

少女は十の誕生日の前日、大好きな両親と使用人とお医者様に見送られました。
その手には五つの宝石がおさまった宝石箱と、たくさんの世界へ飛び立てる童話集。

彼らは巡る、少女のために
彼らは巡る、少女の代わりに
少女のイシを受け継いで

目覚めぬ黒曜石を傍らに