VRoid Studio正式版で作ったキャラクターをベースにアイテムを追加したりしてオリジナルキャラクターを再現する記事です。「オリキャラを3D化したい…フルスクラッチは無理…でもVRoid Studioだけではこだわりが再現できない…」と悩んでいるお方向けです。このキャラクターを作っていきます。
今回はVRoid StudioでつくったモデルをBlenderで改変していきます。まとめページはこちら。
初心者に産毛が生えた程度の実力しかない者がやってるので難しいことはしてません。
用意しておくもの
- Blender(当記事ではv3.2.2を利用)
- 【Blenderアドオン】VRM Add-on for Blender(当記事ではv2.4.5を利用)
- VRoid Studioで作成したVRMファイル
Blenderの環境設定
起動したらレンダーの設定を変更しておきます。レンダープロパティのカラーマネジメント項のビュー変換を「Filmic」から「標準」へ変更。これをしないと全体的に色が半透明ぽい色合いで表示・出力されます。
フォトリアルな作品を作りたければそのままのほうが良いらしいのですが、今回のようなアニメ的な色合いのはっきりしたキャラクターの制作をするときは変えておいたほうが良いです。何故ならテクスチャの色と違う色が表示・出力されるので。
ちなみに「編集>オブジェクトのモードをロック」のチェックを外しておくのも個人的にはオススメです。このへんは使い方によりますが。
ところで私の作業環境はWindowsですので、以後ショートカットキーの説明は全てWindows版となります。
VRMファイルのインポートとデータ整理
アドオンを適用したらvrmファイルをインポートできるようになっているので、VRoid Studioでエクスポートしておいたvrmファイルを読み込みます。読み込んだモデルを見ると、顔と髪以外はオブジェクト「Body」にまとまってるのでまずはこれを分離します。
編集モードで「メッシュ>分離>マテリアルで」または「ショートカットキーP>マテリアルで」でマテリアル毎にオブジェクトを分離。各オブジェクトはわかりやすいものにリネームしておくと後々見やすくなります。
次はボーンの整理。この作業は最後でも良いですが、邪魔なので私は最初にやっています。ただし、揺れものを用いない小物を追加するだけならこの作業は必要ありません。ボーン全てが邪魔なときはアウトライナー(初期右上の欄)のArmatureを非表示にすれば良いので。
今回はコートに関係するボーン以外を取り除いていきます。
リネームもサクサク済ませておきます。左右をblenderが認識しやすい名前にしています。
【番外】揺れものを使わないアイテム
今回はいろいろ揺らしまくるんですが、アイテムを追加するといっても揺れないものを追加するのが当然一番楽です。
慣れてないうちは揺れものアイテムを作るのがしんどいときもあると思いますので、そういうときは揺れないアイテムを作って装着してあげるとモチベーションに繋がったりすると思います。指輪とかピアスとかブレスレットやアンクレットなど?いろいろ。
なお余談ですが、頭部のアイテムはVRoid Studioでも髪パーツを利用して作れたりします。VRoid Studioの髪編集で作られたものは頭部に紐付けされるので、それを利用していろいろなアイテムが作られています。すごい。
巻尾を作る
きれいに可愛く遠慮なくフリフリと揺れ動く巻尾にしたいので、伸ばした状態にボーンを入れて丸める作業を行います。別に丸まった状態にボーンいれても良いと思いますがそっちのほうが多分面倒だと思うので…。
キューブをひたすら変形させて差尾っぽい尻尾を作り、ポーズモードで理想の巻尾にできたらこれを固定させます。マテリアルはコートのものを間借りするので隙間にUVを配置しています。
オブジェクトモードで尻尾オブジェクトのアーマーチュアモディファイアを適用しメッシュの固定化、ポーズモードの「ポーズ>適用>レストポーズとして適用」でポーズの固定化をします。尻尾オブジェクトのアーマーチュアモディファイアは適用により一覧から消えているので改めてアーマーチュアモディファイアを設定、尻尾が丸まったままであることを確認したらOK。
コートの改変をする
すでに完成しているメッシュいじるのって結構大変なので正直イチからコート作ったほうが楽なんじゃ…感はありますが、楽なのと満足できるものができるかは別の問題なので改変していきます。
メッシュを整理する
三角面のままだと作業しにくいこともある(ループカットが使用できなかったりする)のでまず四角面に変換。ついでに左右対称デザインでしたら半分カットしてミラーモディファイアを使うのもひとつ。できる限りUVの再展開をしたくないので私はやりません…が後悔することもままある。何度か後悔しました。読み込んだVRoidのモデルは完全な左右対称というわけではないらしくXミラーが効かないときもあります。
透過部分をカットする準備をします。マテリアルプロパティで「裏面の非表示」にチェック、ブレンドモードを「不透明」に変更。
今回はカットの前に紐の周囲を面選択して「メッシュ>複製(またはShift+D)」で複製後に「メッシュ>分離>選択(またはP>選択)」で複製しておきます。分離したオブジェクトは邪魔なのでしばらく非表示に。
準備が済んだら「ナイフツール(K)」でカット、面選択で余計な面を削除、を繰り返します。後々テクスチャの透過部分は埋めるので、UV編集に移動し頂点を「移動(G)」で調整しておきます。テクスチャのほうに手を入れても良いですが。
同様に襟(胸~二の腕~背中を覆う黒い部分)と赤い部分もパーツ分けをイメージして「ナイフツール(K)」でカットしておきます。こちらは分離などは行いません。
コートに厚みをつける
前項で縁の処理が終わっているので辺選択で厚みを付けたい部分を選択、「面>面を押し出し(E)」後マウスを動かす又は座標軸(X,Y,Z)を入力し固定してから移動。行った後動かさずにEnter等で確定、選択状態を維持したまま「移動(G)」または「スケール(S)」で辺を動かすと厚みができます。移動と拡大縮小のどちらを使うかは選択範囲次第です。
縁だけ?裏地は?となると思いますが今回は縁だけです。縁があるだけでもパッと見厚みがあるように見えるので。こだわりで裏地が欲しい場合は、表地を複製後UVをとりなおして押し出した頂点と「マージ(M)」するとウェイト作業が楽だと思います。
なおUVなんですが今回は面倒がすぎたので適当に直線ブロックにし適当に空きスペースにすべて投げ込みました。(そういえばこの段階で襟元の解像度を上げたくてUV弄ってたんですけど初心者に産毛が生えた程度の実力者には苦行すぎたため推奨しませんので説明を省きます)
分離しておいた紐をととのえる
前前項(メッシュの整理段階)で分離しておいた紐オブジェクトを表示。コート本体を今度は一旦非表示に。UVはどうせ再展開なので半分切ってミラーモディファイアを適用。ナイフツール(K)でカットして見た目を整えます。全頂点を選択して押し出し(E)、移動(G)で厚みを出す。不必要な面はUV展開時に邪魔なので面選択で取り除いておきます。
ミラーモディファイアを適用後、UV展開しテクスチャの処理を終えたらコート本体を表示、位置を縁の後ろに移動させ「オブジェクト>統合(Ctrl+J)」。オブジェクトの複数選択はアウトライナーにてCtrl+クリックで行うのが楽です。最後に選択したオブジェクトがアクティブの扱いになりますのでご注意ください。
ところで何故新規オブジェクトで紐を作らずに複製で作るかといいますとウェイトが楽だからです。メッシュ作りそのものは新規平面なり新規キューブなりで作るのが楽なんですが…複製のほうがウェイトが圧倒的に楽なので…。ウェイトは楽な方が良い。
襟の前面を複製しボタンをつける
まず基本的には紐のときと同じです。複製して分離、整形して厚みをつけて配置。ここにボタンを新たに作って載せます。
ボタンにのせるウェイトですが、よく動く場所なので周囲に合わせ過ぎるとボタンが楕円になったりしてしまうので大体で。それでわりと問題なかったので動かして確認しながら微調整します。また、ボタンはドームガラスボタンをイメージしています。後にそこだけMatcapを適用したいので、本体(模様がある部分)のみを別のマテリアルにします。
襟ぐりを埋める
裏地を用意したりしようと思いましたが面倒が勝ったので埋めます。隙間からチラチラ中がみえるのが気にならないのであればそのままで良いと思います。
「頂点>頂点から新規辺/面作成(F)」で面を貼って「面>扇状に分離」で整える…だけですとぱつぱつでウェイトがうまくできなかったので二度ほど押し出し(E)してから埋めました。うまいやり方あると思いますが思い浮かばず。
背面のひらひらパーツをつくる
背面のひらひらパーツは襟の縁から伸ばします。なので襟の縁を頂点又は辺で選択してから「押し出し(E)」を実行、押し出した面を面選択してから「分離(P)>選択」で別オブジェクト化。ミラーモディファイアを使用するので片方だけで良いです。
何故押し出し複製かといいますと、座標とウェイトを利用するためです。なので今後メッシュやウェイトの編集をする際は、襟の縁と同じ場所にある頂点は決して動かさず、ウェイトも変えずとなります。まあどちらかの頂点を動かしたりウェイトを変えたら片方も変えましょう、ということです。パーツを作り終えたらコート本体のオブジェクトに戻して頂点をマージするのもひとつのテですが、ごちゃっとするので慣れていないお方にオススメはあまりしません。
複製したメッシュを更に押し出したり変形を繰り返し、ある程度上部が形になったら「追加>平面」で平面メッシュを作成。そちらをループカット(R)とスケール(S)や移動(G)で整えた後にマージ(M)でくっつけます。
平面はウェイトが楽で良いのでサクサク終わらせ、好みのウェイトになったらミラーモディファイアを適用。UVも楽で良いですね!
ところでミラーモディファイア適用後、元ミラー側の接触部の頂点座標とウェイトは念のため確認しておくと良いと思います。今回は頂点座標がずれていたのでくっつけました。
紐タイにボーンを追加する
せっかくなので紐タイも揺らします。ついでにマテリアル及びテクスチャ削減のためにコートのマテリアルに間借りさせます。なお紐タイは元の位置だと少しコートと干渉するので移動させたりしましたが、概ねそのまま利用させていただいてます。
胸まわりの揺れものはそのあたりのコライダーと過干渉になりやすいので、大きく動かさないほうが結果的によく見えます。なおコライダーを干渉させないと普通にめり込みます
FBXでエクスポートする
ボーンを全て残しているならここからまるっと直接VRMに書き出すのもひとつなのですが、今回は追加・改変したアイテムのみをFBXで出力します。
アウトライナーで出力するオブジェクトと、アーマーチュアを選択してから「ファイル>エクスポート>FBX」で、設定を変更。「選択したオブジェクト」にチェック、スケールを適用項を「FBX単位スケール」に変更、「トランスフォームを適用」にチェック。この設定が何かというと、Blenderが持っている座標などの情報をFBX標準の情報にあわせる作業…らしいです。
これを行わないと、Unity上で一見普通なのに妙な挙動になったりします。なりました。
なお、揺れものアイテムではなく、身体の一箇所にのみ紐づけるタイプのアイテムでしたらオブジェクトのみの選択で良いです。
【余談】オブジェクトギズモについて
人によっては便利、人によっては邪魔なオブジェクトギズモ。初期状態では非表示ですが、ギズモ欄にちゃんといます。ギズモ便利派ですが個人的にスケールはショートカットキー(S)が一番てっとり早いので、ソレ以外の移動・回転のギズモを表示させています。
【余談】法線について
ものすごく簡単に言うと、光があたっている際にどんな陰がつくかという情報です。
光源はふたつのキューブの中心上の上空と前後に配置しているので、条件は全くおなじです。
こんな感じで見え方に大きく関与してくる法線ですが、完成品を改変するときは気をつけてあげなければなりません。面を増やしたり減らしたりすると、ぐちゃっとしてしまうので。そうなったら都度「メッシュ>ノーマル(Alt+N)>面から設定」で面毎に標準化させたり「メッシュ>ノーマル(Alt+N)>回転」で手動で調整したりなどします。面倒になったらオブジェクトデータプロパティの形状データ項の「カスタム分割法線データをクリア」で全部ふきとばします。勿体ないのでそこまではあまりしませんが。
セルルック3Dなどはこの法線をうまく使って陰をつくるんですって、すごい。